ハイスループット (マルチサンプラ)

デュアルニードルマルチサンプラでは、使用されていない方のニードルはバイパスとして使用されます。そのため適用可能なバイパス容量はニードルの容量によって決まり、非常に大きい場合があります。

このセクションは、左右の流路(シートキャピラリーとループキャピラリー)が同一のデュアルニードル マルチサンプラには適用されません。

サンプルフラッシュアウト係数

[サンプルフラッシュアウト係数]により、シリンジからキャピラリーシートとバルブを通してサンプルを完全にフラッシュアウトすることができます。この係数は、マルチサンプラファームウェアで計算されるフラッシュアウト容量係数の一部です。

フラッシュアウト量は、次のように計算されます。

係数×(注入量+シートキャピラリー+バルブ容量)

[サンプルフラッシュアウト係数]は、デフォルトで 5.0 に設定されています。

デフォルトの[サンプルフラッシュアウト係数]は、多くの場合に適正です。粘性が著しく高いサンプルの場合は、サンプルのキャリーオーバーを防ぐために[サンプルフラッシュアウト係数]の値を大きくして、必要な程度のフラッシュを行ってください。

ディレイボリューム低減用にインジェクタバルブをバイパスに切り替え

このパラメータは、注入後にインジェクタからの流路をメインフローパスからバイパスに切り替える場合に使用します。低容量分析の際にディレイボリュームを低減することができます。

分析中にバルブをバイパスに切り替えるタイミングを指定できます。これは、[サンプルフラッシュアウト係数]を設定することで行えます。

デュアルニードルマルチサンプラ使用時の追加情報については、上の注記を参照してください。

オーバーラップ注入有効

オーバーラップ注入では、現在の注入の実行中に次の注入が準備されるため、サンプルのスループットが高速になります。これにより、個々の注入時間を一定にしたままで、特定の時間内に実行されるサンプル数を増やすことができます。オーバーラップ注入モードを使用すると、最初のサンプルが注入されるときに、次のサンプルがマルチサンプラに取り込まれます。

[サンプルのフラッシュアウト後]を選択すると、現在のサンプルのフラッシュアウトが完了した直後に次のサンプルが準備されます。

[注入後]を選択すると、ユーザーが定義した時間後に次のサンプルが準備されます。

オーバーラップ注入のパラメータは、メソッドの一部として指定されます。オーバーラップ注入には、シーケンス/ワークリストテーブルで指定するパラメータはありません。ただし、オーバーラップ注入をシーケンス/ワークリストで使用するには、制限があります。

  • シーケンス/ワークリストでは、オーバーラップ注入を使用するすべての注入で、同一のメソッドを使用する必要があります。現在の注入を実行している間に次の注入を誘導するには、サンプルの位置と量についての情報をメソッドが提供する必要があるためです。異なるメソッドが指定されていると、シーケンス/ワークリストは続行されますが、オーバーラップ注入は無視されます。

  • コントロールサンプルは使用できません。コントロールサンプルがシーケンス/ワークリストに挿入された場合、コントロールサンプルは失敗してシーケンス/ワークリストが停止するため、次の注入ではオーバーラップは無視されます。

  • サンプルプレップ/インジェクタプログラムでオーバーラップ注入を使用する場合には、次の制限があります。

    • オーバーラップ注入はプレ注入タスクを処理できますが、ポスト注入タスクは処理できません。現在の注入を実行している間に、次のサンプルが準備されているためです。

    • 一部のインジェクタプログラムコマンド([注入]など)は、オーバーラップ注入で使用できない場合があります。詳細については、そのコマンドのヘルプを参照してください。