イオン源が汚れていることは、感度の劣化をはじめとしたパフォーマンス上の問題を招く一般的な原因の1つです。どのイオン源も最終的には汚れます。MSD でイオン源が汚染される度合いは、次の複数の要素によって決まります。
分析サンプルの数 - サンプルの数が多いほど、イオン源の汚染が速くなります。
サンプルとサンプルマトリックスのタイプ - 複雑なマトリックスの高濃度サンプルは、単純なマトリックスの微量サンプルより速く汚染します。
動作環境 (主にイオン源の温度) - 通常、イオン源の温度が高いほど、イオン源の汚染が遅く進みます。
イオン源が汚染されていても、それを目視で調べた場合、必ずしも汚れて見えるとは限りません。イオン源の実際の状態は、チューニングレポートによって知ることができます。
以下の手順に従った後でイオン源が汚染されていると判断された場合は、MSDメンテナンスマニュアルのメンテナンスに関する章に記載されたクリーニング手順に従って、イオン源のパフォーマンスを元に戻すことができます。
機器コントロール画面で、[クオリファイ]メニューの[チューニングを見る]を選択します。以下の現象が見られる場合、イオン源が汚れている可能性があります。
イオンフォーカスの電圧が着実に増加している
リペラの電圧が着実に増加している
EM の電圧が着実に増加している(EM ホーンが古くなったことを示す場合もあります)
低質量分解能が着実に劣化している
m/z 502の相対アバンダンスが着実に減少している
オートチューニングを実行します。イオン源が汚染されている場合、以下が示されます。
m/z 502の相対アバンダンスが3%未満である
m/z 219の相対アバンダンスが30%未満である
リペラの電圧が最高値(オートチューニングの場合は35ボルト)に達している
マニュアルチューニングで、リペラ電圧をランプ(上昇)してみてください。イオン源が汚染されていない場合、15 ~ 35 ボルトに単一のピークが定義されたレスポンス曲線が作成されます。ピークは、イオン源が汚れるにつれ、リペラの最大値 (42.7ボルト) に達するまで上昇します。イオン源が汚染されている場合、低リペラ電圧にレスポンスが皆無またはわずかしか見られず、電圧が突然上昇した後で、レスポンス曲線の傾斜が激しくなります。このタイプのレスポンスが見られても、ピークは最大リペラ電圧のままとなります。