Ion Classification(イオンの分類)では、FLP と共溶出する不純物を確認します。該当するイオン(複数の m/z 値)は、サンプルの MS 純度の計算に使う抽出イオンクロマトグラムの決定に用いられます。
イオンの分類は、特定のスレッショルド以上の相対スペクトル値に基づきます。スレッショルド値は、プロジェクト設定で定義され、MS Spectrum(MS スペクトル)ウィンドウに点線で示されます。この値を下回るピークは、未検出と見なされます。
Pre-FLP Response Threshold (%):プレピークイオンのスレッショルド(イオン < FLP m/z)。デフォルト値は 0.2 % です。
Post-FLP Response Threshold (%): ポストピークイオンのスレッショルド(イオン > FLP m/z)。デフォルト値は 0.3 % です。
スレッショルド値を上回るイオンはすべてレポートされますが、すべてに EIC が必要というわけではありません。たとえば、スレッショルドを超えて識別された既知の不純物または不明な不純物の ± 1.0 以内に収まるすべてのイオンは、分解能が不十分として分類されます。これらのイオンについては、積分用の EIC は不要です。
標準条件の MS スペクトルにおけるすべてのピークが評価されます。分類の候補が次のテーブルに表示されます。上から下へと順に適用されるため、最初にすべての Known(既知)のイオンを識別した後で、Unresolved(分解能が不十分)のイオンが評価されます。
注記
m/z 値は端数が丸められ、小数点以下 1 桁で表示されます。m/z 間隔の境界にある m/z 値は、正確な数値で計算するために除外される場合があります。
# | 分類の候補 | 説明 | イオン名 | 理論質量 | 測定質量 | EIC 抽出質量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
#1 | Known | 標準条件のピークがスレッショルドを上回り、理論質量の ± 0.5 m/z 以内に収まる唯一のピーク、または最大ピークである場合に適用されます。 イオンリストの Type は Ion。 | イオン | イオン | 標準条件のピーク | 理論質量 |
#2 | Unresolved(分解能が不十分) | 標準条件のピークがスレッショルドを上回り、Known の理論質量の ± 1 m/z 以内に収まる場合に適用されます。 | Unknown + 測定 m/z | N/A | Harsh 条件におけるピークの m/z(スレッショルドを上回り、標準条件の評価対象ピークの ± 0.5 m/z 以内に収まる場合)。それ以外の場合は、標準条件のピークの m/z。 | 測定質量 m/z |
#3 | Adduct | 標準条件のピークがスレッショルドを上回り、理論質量の ± 0.5 m/z 以内に収まる場合に適用されます。 イオンリストの Type は Adduct。 | イオン | イオン | 標準条件のピークの m/z | 理論質量 |
#4 | Adduct | 標準条件のピークがスレッショルドを上回るが、Harsh 条件におけるシグナルがスレッショルドを下回る場合に適用されます。 | Unknown + 標準条件のピークの m/z | N/A | 標準条件のピークの m/z | 測定質量 m/z |
#5a #5b | Unknown(不明) Unresolved(分解能が不十分) | スレッショルドが上回っている、その他すべての標準条件のピーク。 最大ピークは、Unknown に設定されます。± 1 m/z 以内に収まるピークは、Unresolved に設定されます。 | Unknown + 測定 m/z | N/A | Harsh 条件におけるピークの m/z(スレッショルドを上回り、標準条件の評価対象ピークの ± 0.5 m/z 以内に収まる場合)。それ以外の場合は、標準条件のピークの m/z。 | 測定質量 m/z |
#6 | NotDetected | イオンリストにある既知イオンの標準条件におけるピーク(理論質量の ± 0.5 m/z 以内)がないか、スレッショルドを下回っている場合。 | イオン | N/A | N/A | EIC は抽出されません。 分類が変更された場合は、EIC が抽出されます。 |
Ion Classification(イオンの分類)は、以下の 3 つのステップに分かれます。
最初のステップでは、各積分と TIC の抽出とスペクトルを確認します。この TIC の開始時間と終了時間がテーブルとグラフに表示されます。対応する各 MS スペクトルも、テーブルの所定のタイムウィンドウに表示されます。
TIC とスペクトルの両方を重ね描きする場合は、Shift キーを押したまま、各サンプル準備の行を選択します(標準および Harsh)。これが役立つのは、データ解析で標準条件と Harsh 条件のサンプルタイプが正しく選択したかどうかを確認する場合です。
次のステップでは、前のテーブルで設定したアルゴリズムと条件に基づき、各イオンの分類が表示されます。イオンは、Classification(分類)テーブルにリストされ、ユーザーによる分類に基づき並べ替えられます。
テーブルを並べ替えるには、該当する列のヘッダーをクリックします。
ズームインしてスペクトルを調べ、各イオンが正しく分類されていることを確認します。スペクトルウィンドウには、設定済みのプレピークおよびポストピークのスレッショルドを表す点線が示されます。
分類を変更するには以下の手順に従います。
変更するイオンを 1 つまたは複数選択します。ユーザーによる分類(User Classification)のセルをダブルクリックし、ドロップダウンリストからイオンクラスを選択します。使用できる選択肢は、現在のイオンにより異なります。
複数のイオンを選択するには、Ctrl または Shift キーを押しながらクリックします。複数のイオンを再分類する場合、新しい分類は、そのイオンに対して有効な場合にのみ適用されます。
最終ステップは、イオン分類のサマリーです。テーブルには、ユーザーによる分類に基づく既知イオンと未知イオンのみが表示されます。これらの m/z 値のみが、積分セクションで使う EIC を抽出するために用いられます。
分解生成物としてイオンをマークするには、Degradation product(分解生成物)列でチェックボックスをオンにします。これらのイオンは、分解生成不純物の合計を計算するために使用されます。
すべて正しければ、Next(次へ)をクリックして続行します。分類設定が完了したことを確定します。続けると、このステップには戻れません。変更は、結果セットの新規バージョンとして保存されます。
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