ディレイキャリブレーション

サンプルの精製において、しばしば分取目的でフラクションコレクションを使用します。フラクションコレクションでは、クロマトグラフィーのプロセスによってラン中に分離された化合物が、個別のチューブに回収されます。

サンプルを正しい分画で採取するためには、化合物が検出器からフラクションコレクタに移動するために要する時間、ディレイキャリブレーションの時間またはディレイタイムを決定する必要があります。ディレイ(タイムまたはボリューム)が計算され、ラン実行中に後で使用できるようフラクションコレクタに分取します。ラン実行中、検出器で検出されたピークのリテンションタイムに、ディレイタイムを追加した時間から、フラクションコレクションが開始されます。

  • MS 検出器以外(DET=UV、DAD、ELSD)の場合、ディレイボリュームが計算されます。

  • MS 検出器の場合、ディレイタイムが計算されます。

MS 検出器以外のディレイボリューム

MS 検出器以外(UV、DAD、ELSD)を使用する場合、ディレイボリュームが計算されます。これは検出器とフラクションコレクタ間のチューブボリュームを示します。システムに対して、ディレイキャリブレーションを一度行う必要があります。チューブの長さを変更したり、機器上に変更があった場合には、キャリブレーションを再度実施する必要があります。

ディレイキャリブレーションの実施には、コンスタントフローを設定したメソッドを使用します。ただし、フラクションコレクションメソッドを使用してランをキューに追加する場合は、ポンプ流量のグラジエントがサポートされます。計算されたディレイボリュームは、ラン実行中に、現在のポンプ流量に従いディレイタイムに変換されます(ディレイタイム = ディレイボリューム / ポンプ流量)。

ディレイボリュームの詳細については、評価タブを参照してください。

MS 検出器のディレイタイム

MS 検出器を使用する場合(シングル四重極)、ディレイボリュームはメインポンプ流量、メークアップ ポンプ、スプリット比、およびディレイコイルに依存するため、容易に計算できません。そのため、ディレイタイムはディレイキャリブレーションツールによって計算されます。ディレイタイムは、MS 検出器からフラクションディレイセンサー(FDS=Fraction Delay Sensor:フラクションコレクタモジュールにある単純な検出器)のダイバーターバルブまで、化合物の移動にかかる時間を表します。

ディレイタイムのキャリブレーションは、専用の機器コンフィグレーション(チューブの変更なし)に対して、また、定義した測定メソッド(ポンプ流量、メークアップポンプ流量、スプリッター)に対しても行われます。チューブまたはサンプルをランするメソッドを変更した場合、新しくキャリブレーションする必要があります(新しいキャリブレーションランを開始)。

ポンプ流量のグラジエントはサポートされていません。

ディレイタイムの詳細については評価タブを参照してください。

 

ディレイキャリブレーションランを実行するには、専用のキャリブレーションサンプルを購入する必要があります。これらのサンプルは UV、MS のほか、フラクションコレクタ ディレイセンサーでも検出できる化合物を含有しています。

ディレイキャリブレーションは以下の部分に分かれています。

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