オートチューニングは、質量範囲全体にわたり良い性能が得られるように MS を調整するプログラムです。多くのアプリケーションの場合、他には何も使用する必要はありません。次のような場合には、マニュアルチューニングを実行することを検討する必要があります。
マニュアルチューニングが実行できるのは、使用している機器が Agilent 61xxC の場合のみです。(6125C、6135C など)
エレクトロスプレー、APCI/APPI、および MMI-ESI+APCI には、別々のチューニングは必要ありません。チューニングでは、イオンの伝達をコントロールするパラメータの調整が必要です。これらの部品は、イオンがどのように生成されるかについては関与していません。エレクトロスプレーモードで作成されたチューニングファイルは、APCI/APPI サンプルに対して良好な結果を示すことがよくあります。逆もまた真です。
ポジティブおよびネガティブイオン化には、別々のチューニングが必要です。MS は、1 回はポジティブイオンを用いて、そしてもう 1 回はネガティブイオンを用いて、合計 2 回チューニングする必要があります。2 回のチューニングは、同じチューニングファイル名で保存でき、ソフトウェアはポジティブイオン設定とネガティブイオン設定を別々に維持します。ポジティブイオンとネガティブイオンの設定を、別々に更新できます。
チューニングはほとんどの場合、質量範囲全体にわたり行われます。対象とするすべてのイオンが約 150 amu よりも小さい場合は例外です。狭い質量範囲を正確にマニュアルチューニングすると、これらの非常に小さな質量イオンの透過率および検出感度を改善できます。
頻繁にチューニングする必要はありません。MS は非常に安定しており、再チューニングしなくても数週間から数か月間使用できます。
マニュアルチューニングは、どのイオン源でも実行できます。MMI イオン源の場合、Agilent では APCI チューニングキャリブラントを使った MMI-APCI モードでのチューニングを推奨します。APCI チューニングキャリブラントには、ESI モードでのチューニングに必要な 118 m/z は含まれていません。
このセクションでは、MS のマニュアルチューニングの手順を順を追って説明します。この説明では、標準キャリブラントの 1 つを使用し、質量範囲全体にわたるチューニングを仮定していますが、標準キャリブラント以外の場合や、質量範囲を狭くした場合に応用することができます。複数のパラメータ間では、質量に依存する相互作用が複数あるため、マニュアルチューニングは複雑な反復プロセスとなります。この説明は優れた開始点となりますが、さまざまなパラメータの効果や相互作用を体験したりそれらの学習に代わるものではありません。
マニュアルチューニングの主な手順は以下のとおりです。